Porsche 911 GT3

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    Impression

    ポルシェ911シリーズにおいて、GT3は特別な存在だ。
    しかし第6世代997モデルのGT3ほど、
    スペシャルなマシンはないのではないだろうか。
    それは、このマシンには
    1998年のル・マン24時間耐久レースで優勝した、
    ポルシェ911GT1系エンジンをベースに
    ワークスチューンしたパワーユニットを搭載しているからだ。

    メーカーアナウンスによれば、
    第5世代の996モデルから引き継いだパワーユニットのパーツは、
    クランクケースのみと言う。
    コンロッドをチタン製にしてピストンを1個あたり30g軽量化し、
    クランクシャフトも600g軽量化している。
    その闘う心臓は、
    公道仕様のレーシングマシン、
    ポルシェの名を不動のものにした911カレラRS譲りの
    ダックテールスポイラーの下に納められている。
    甘美なるエンジンサウンドを、
    センター2本出しのスポーツエキゾーストが奏でる。

    911はやはり伝統的な丸眼が似合うと思う。
    フロントマスクは、すべての人がポルシェだとわかる
    デザインとしながら、
    キセノンヘッドライトとなっている。
    そしてPASM、
    GT3専用フロント6ピストン&リア4ピストンキャリパーと、
    わかる御仁にはわかる仕様を備えている。
    派手なデカールでGT3だと主張する野暮さは、
    微塵もない。

    ドアを開けば、スポーツクロノ仕様と判る。
    だが、伊達にスポーツクロノとしたマシンではない。
    このマシンは、コンマ以下のラップを刻みながら、
    コースを正確にトレースするマシンなのだ。
    状況が許せば、
    自らのドライビングスキルがどれくらいのものなのか、
    試すことができるマシンだ。

    ステアリングは、
    手になじむアルカンタラスポーツステアリングが装着されている。
    そこに、
    カットオフスイッチ付の
    トラクションコントロールを備えている。
    このマシンは、
    週末のサーキットの覇者となるために生まれてきたのだ。

    直噴を行わない最後の911。
    しかも911GT1系パワーユニットをベースにしたモデル。
    さまざまなダックテールスポイラーを纏う911があるが、
    このマシンは別格だ。
    ひとつの世代が到達した至高の心臓を備え、
    これまでディーラーによりメンテナンスされ続けてきた
    極上のコンディションを保つマシンなのだから。

    ふと脚元に目をやると、
    純正19インチのアルミホイールは、
    認証指定の新品ミシュランに履き替えられていた。
    新たなオーナーに、
    「さぁ試してくれ」と言わんばかりに。
    誰がこのマシンのポテンシャル、その限界を味わうのだろう。
    その幸福は、このひとりのオーナーのものでしかない。