多くの人は、スポーツカーといえばツーシーター、
フロントシートで楽しむものと考えるだろう。
しかし、意外かも知れないが、ポルシェは違う。
2009年に新築したポルシェ博物館を訪れると、
空冷式時代の911ナローボディをベースに、
ホイールベースを延長したり、
あるいはルーフラインを水平にし、後方へと延長した、
プロトタイプを目にすることができる。 創業以来、ポルシェは「4人で楽しむ」という
ポルシェスポーツの夢を追いかけてきたのだと、歴史は語っている。

サイドシルエットは、
全長4970mm、ホイールベース2920mmというスペックを感じさせない
タイトな塊感を持って仕上げられている。
それは、911にオマージュを抱いて開発されたというエクステリアの証でありながら、
4人で楽しむスポーツサルーンとして、
リアシートのヘッドクリアランスも充分に確保されていることが、
外見からも判る。

リアには開閉式のリアスポイラーが。
ターボSではボディ同色で仕上げられ、
リアウインド下部に収められている。 開閉させると、ボディから持ち上がり、
左右に分割して翼を拡げて、ダウンフォースを得る。
それはこのモンスターマシンにとって、伊達の装備では無い。

つまり、ステアリングを握るドライバーには、
凄まじいまでの加速力とロングホイール&ワイドボディによって生まれる
圧倒的な安定感が待っている。
このボディサイズながらも、やはりポルシェ。
ワインディングでは、狙ったラインを外さない、
オンザレール感が味わえる。
もちろん街ではフラッグシップサルーンとして、
ジェントルたる身のこなしで走り、アイドリングストップも備えている。