Ferrari F430 Spider

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    Impression

    F1マシンで開発された技術を市販車におしみなく投入してきた、
    フェラーリ。
    なかでもV8シリーズF430スパイダーは、
    生産台数が限られていたモデルと言うこともあり、
    発売直後から年単位のバックオーダーを抱えるに至った。
    当時、市場では「プレミアム価格で取引されていた」という逸話も残っている。

    デザインは、当時ピニン・ファリーナのチーフデザイナーを務めていた、
    フランク・ステファソンが手掛けている。
    彼のデザインは、フロントマスクの大胆なエアインテークデザインと、
    前から後ろへと流れる流麗なボディラインの上質さを特長とし、
    その後マクラーレンに移籍してMP4-12Cをデザインするが、
    F430はフェラーリ時代に手掛けたもの。
    つまり、F1マシンのレスポンスを
    市販車としてデザインし続けている男が手掛けた、
    フェラーリ時代に残した傑作ということである。

    サイドには、フェラーリV8ミッドシップが伝統的に持つ
    黄金の前後バランスがある。
    またクーペより車両重量が100kg重くなるスパイダーながら、
    0→100km/h加速はクーペとほぼ同等の4.1秒。
    このスペックを、クーペの美しく流麗なデザインを崩さず、
    オープンボディで実現したフェラーリの手腕を評価したい。

    タイトに引き締まったボディには、 最高出力490ps、最大トルク47.4kg-mを叩き出す
    TipoF136E型4.3リッターV8エンジンが。
    エンジンルームは、スケルトンのエンジンカバーを通して、
    街の視線に訴えかけている。スパイダーにおいても。

    ボタンの操作ひとつで、
    わずか約20秒で開閉するソフトトップのルーフを備えている。
    ミッドシップレイアウトに置かれたシースルーのエンジンルームを考えると、
    電動ルーフを実現したことはマジックと呼びたい。
    ドイツBASF社特注のペイントを使ったフェラーリの赤「ロッソコルサ」と
    黒いソフトトップのカラーコーディネイトは、
    スパイダーの美しさを際立たせている。

    赤と黒のコーディネイトはインテリア空間においても貫かれている。
    それは、スパイダーの室内は
    街にアピールするための開かれた空間であると、
    メッセージしているようだ。
    ステアリングを手にすると、
    そんな遊び慣れた男の悦楽のチョイスを感じる。

    正規ディーラー車として、
    しっかりとしたメンテナンスを受けてきた一台。
    社外品のHDDナビゲーションシステム、レーダー探知機と、
    日本の交通事情にあわせた装備も備えている。
    メーターパネル中央に座したイエローのレブカウンターが、
    首都高の入口が近いと、誘っている。

    小気味よいコーナリングと、高速走行を愉しまないか。
    トップを開いて、バイクのように。
    スパイダーの走りは、
    道が凍結しなければ、
    夏の季節より、冬の方が心地よいことを付け加えておきたい。