Rolls-Royce Ghost

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    Impression

    オーナーは、リアシートに座る。
    そんなイメージを持つ方が多いブランド、ロールスロイス。
    だが、このマシンは違う。
    シート、そして装備を見れば、
    新車時よりどのような贅なる時間を過ごしてきたか、
    伺い知れる。
    ダイヤモンドブラックのゴースト、である。

    走行距離は4年で2万kmと少なく、
    ダイヤモンドブラックのエクステリア、
    そしてそびえ立つフロントグリル、
    そのノーズを彩るシルバーカラーは、
    ロールスロイス固有の上質な輝きを保っている。

    観音開きのドアを開けると、
    クリームライトのインテリアカラーが美しい。
    その美しさは、色彩だけではない。
    パッセンジャーズシート、そしてリアシートは
    ほとんど使用した形跡がなく、
    ドライバーズシートも美しさ、
    このモデル固有の上質な着座感をしっかりと保っている。

    このマシンはワンオーナー。
    企業経営者かライセンサーという
    ビジネスエリートだったのだろうか。
    プライベートやビジネスで、
    オーナーが自らステアリングを握ってきたマシンの余韻がある。
    0-100kmわずか4.9秒という、
    ゴーストのV12ツインターボを操り、
    そのハイパワー・ハイスピードを、
    何事も無かったように静かに導き出し、
    メインストリームを駆け抜ける。

    全力でアドレナリンを発するスポーツがある。
    その対局に、ロールスロイス・ゴーストのスポーツがいる。
    このボディサイズだから、
    V12ツインターボを日常的に使えるという贅沢。
    贅とは、見かけや装備だけでは計れない。
    どのように使うか、
    オーナーの見識によって作られる贅もある。

    リアシートには、
    オーナーのジャケットか、
    あるいは贈り物の花束かワインしか置かなかっただろう、
    ロールスロイス・ゴースト。
    極上のドライバーズマシンは、
    再びそのステアリングを握るオーナーが現れる時を
    静かに待っている。