Ferrari 458 Spider

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    Impression

    クルマが溢れ渋滞するビジネス街のメインストリートを、
    知的な赤いフェラーリが静かに信号を待っていた。
    シグナルが青に変わると他のマシンとは違う音を聞かせ、
    ビルの谷間に消えていく。
    ニューヨークにいた頃、
    よく見かけた風景だ。
    ふとその記憶を蘇らせるマシンが登場した。
    ロッソを知的に纏った458スパイダーである。

    スーパースポーツというと、
    サーキットやワインディングでの姿を思い浮かべる。
    しかし、実際にはビジネス街の方がよく見かける。
    それはオーナーが多忙を極め、
    ビジネスシーンの移動にフェラーリを愛でる、
    という使い方が多いからだろう。
    このフェラーリ458スパイダーは、
    ビジネススーツに似合っている。

    エクステリアは、
    20インチダイヤモンドポリッシュアルミホイールを履かせ、
    カラード・ブレーキキャリパー(ロッソ)をあわせ、
    オリジナルデザインに最小限しか手を加えていない。
    ピニンファリーナの造形に敬意を表した、
    大人らしいオーナーのポリシーを感じさせるセレクトだ。
    それは人目に触れる場所での走りを前提にしたのだろう。

    エンジンがリアに鎮座しているにもかかわらず、
    トップをシート後方に仕舞い開閉できるマジック。
    そこには美しさに何の妥協もない、
    マラネッロの天才職人たちの息づかいが聞こえる。
    時には獰猛禽となり牙をむくことを感じさせる
    マッシブな後ろ姿。
    もちろんフロント・リアパーキングセンサーと
    リアパーキングカメラを備えている。
    その姿はビジネススーツの下に
    鍛えられた筋肉が納められている男のような、
    造形美を感じさせる。

    オーナーはもちろん、
    トップを開いたときに街の視線がまず気づくのは、
    ロッソとネッロのコンピネーションカラーで仕上げた
    フル電動シートだろう。
    あえてすべてをロッソにせずネッロと
    組み合わせたところが心憎い。
    そのうえで、2色レザーインテリアトリム(ロッソ)、
    ロッソのカラードステッチをあしらっている。
    トップを閉じれば、
    天井にはアルカンターラ仕上げのヘッドライナーが現れる。

    コックピットは
    カーボンファイバーのドライバーズゾーンと
    カーボンファイバーのLEDステアリングで仕上げられている。
    レブカウンターは、ジャッロ(黄色)だ。
    時にはサーキットへ行こうと、
    マシンが誘惑している。

    そんなマシンの誘いに、
    多忙なオーナーを癒やすのは、
    フェラーリV8シリーズ最後となるかも知れない自然吸気の快音と、
    このマシンに備えられたHi-Fiサウンドシステムかも知れない。
    心地よいサウンドなら、
    いつでも手にすることができる。
    たとえ、オフィス街でも。

    何も考えずステアリングを握る時間も豊かだが、
    日常において心愉しませるスポーツも、豊かだと思う。
    フェラーリ458スパイダーは、 そんな使い方など気にせず、
    どんなときでもスーパースポーツを愉しませる、と言っているようだ。
    そんな誘いにのって、
    このマシンを選ぶのも悪くは無い。
    ビジネススーツに、赤い薔薇を。
    それは成功者の証、かも知れない。