Porsche ポルシェ 911-tb

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    Impression

    そのマシンは
    雨の日にリベラーラのストックヤードに現れた。
    空力を配慮して寝かせたヘッドライトを見て
    気づかれた御仁も多いことだろう。
    そう、911ポルシェ空力エンジンの最終モデル993が、
    入庫したのだ。

    ボディカラーは
    カラーコード3AX1のゼニスブルーメタリック
    濡れた姿も様になる、プレミアムな一台だ。

    このマシンには、
    発売当時、新搭載され話題となった6速MTが
    備えられている。
    ショートストロークのマニュアルを操り、
    空冷サウンドを響かせる。

    最新の992は、
    水冷で空冷時代の走りを追求したと
    評論家たちは語る。
    たぶんポルシェの開発者たちは、
    この993を操り、ポルシェの走りとは、
    と自問した結果が992なのかも知れない。
    992のメーターデザインが993を踏襲していることに気付き
    ふと、そんな想像が膨らんだ。

    空力設計を印象付ける、
    ターボロゴの入った存在感のあるテールウイング、
    さらにフロントからリアへと厚みを増すボディの流れ
    その強力なリアのチカラを路面に伝えながら、
    無駄なノイズでドライバーのエクスタシーを邪魔しない
    マルチリンクのリアサス
    この絶妙な設計から、”あの走り”は生まれるのだろう。

    911には歴史がある。
    その長い時間、ポルシェは理想の911を追い求めて、
    数々のドラマを刻んできた。
    最高は最新と標榜する彼らが、
    その最新912で、自らの指針として選んだマシンが993であるのなら、
    もういちど、イグニションを回し、確かめてみたい気がした。
    993の、”あの走り”を。